ホルモン補充周期で使用する黄体ホルモン剤の中で、唯一「生殖補助医療における黄体補充」に適応があるのが腟剤です。
以前は腟剤がなかったため、内服薬や注射薬で代用していましたが、現在は腟剤が基本です。
腟剤は子宮内膜を着床に適した状態に整え着床率を上げ、流産予防にも作用します。
現状、腟剤最良説を否定する医師はいないと思いますが、唯一のマイナス点は費用が高いことかと思います。
腟剤は、ルティナス、ウトロゲスタン、ルテウム、ワンクリノンの4種類が日本で発売されています。
各腟剤は一日推奨投与回数が異なっていますが、もちろんどれを使用しても成績は同等ですので、使用感の良いものを選んで下さい。
時々、mg数が異なることを気にされる患者さんがいらっしゃいますが、何mgかというのは気にする必要はありません。
少ないmg数のものは血管拡張作用により吸収率を上げていたり、子宮内膜吸着作用を上げていたりと工夫が施されています。
当院のホルモン補充プロトコールは細部に多数の工夫を施しています。
そして移植の方法も、手先の器用さで勝負しています。
私以外の医師が同様の方法で行っているのは聞いたことがありません。
訓練次第でヒトの指先には無限の可能性が広がります。